イベント開催報告
【2025年3月特別イベント】会津若松の歴史に触れ銘酒を味わう旅
実施期間: 2025年3月7日(金)夜 ~ 9日(日)夕
今回の旅は、参加者が団員3名という小規模クルーでしたが、とても充実した密度の濃い週末を楽しむことができました。
会津若松市内の酒蔵巡りのほか、夜の飲み歩き、城下町散策等々、会津の由緒ある町の魅力に触れる貴重な機会となりました。
全員が7日(金)夕方までに現地入りし、同日夜に地元の有名な居酒屋さんに集合。このお店に勢揃いした会津の名酒を酌み交わしながらツアーは「開幕」しました。
地元の人たちの支持の厚い飲食店の数々、今回見学させていただいた酒蔵3軒、そして最終日の市内観光などについて、以下ご報告いたします。
<訪ねた順に記載します>
酒蔵: (下記3軒とも3月8日の訪問)
・名倉山酒造
創業は大正7年(1918年)と比較的歴史は新しいものの、その数年後より繰り返し鑑評会等で優秀な成績を収めてこられた、とても優れた品質のお酒を造られる蔵元さんです。たくさんの表彰状が展示されている部屋には、現存する最も古い昭和6年(1931年)のものがあり、そこから連綿と続いてきた高い評価の歴史が垣間見られました。
この蔵元さんとのつながりは、蔵人応援団発足間もない時期に、会津若松酒造業組合の会長で当時社長をされていた、現会長の松本健男さんを団長の桐村が殆ど飛び込みに近い状況で初めて訪ねていった際に、とても丁寧にご案内、ご説明いただいた際のご縁が発端です。蒸米から引き込みまで朝の大仕事の一部始終を間近で見せていただくという貴重な機会を得て、その数年後にも最新鋭のパストライザーの稼働するところを詳しいご説明をしていただきながら見学したことなどを懐かしく思い出します。普段ではなかなか見ることのできない、そのときのような光景をもう一度仲間と一緒に見せていただくことで、蔵人の皆さんのご苦労の一端に少しでも触れることができればと思い、今回のツアーを企画しました。
今回ご対応くださったのは、2018年に蔵に戻られて研鑽された後、2022年に蔵を継がれた松本和也さん。先代社長と同様、とても親切なご案内をしてくださり、この日の午前中いっぱい貴重なお時間を割いていただきました。蔵の歴史、お酒造りのこと、それぞれの酒質と特徴等々、たくさんのお話を聞かせていただきましたが、まだまだ興味は尽きないながら、後ろ髪を引かれる思いで蔵を後にしました。
コメ本物の旨味「きれいなあまさ」を追求し、たゆまぬ努力を重ねる「名倉山」の更なる発展に大いに期待したいと思います。
・末廣酒造嘉永蔵
末廣酒造さんは江戸末期嘉永3年(1850年)年から続く老舗蔵で、年間生産高は約5,000石。会津地域では押すに押されぬ大手、全国基準で比べても大規模な酒蔵で、東京を始め全国の都市圏でもたくさん流通しています。
今回訪ねたのは会津若松市内にある嘉永蔵。創業以来、170余年の長きにわたり、会津の酒造りの象徴的な存在となっています。主な生産拠点は会津美里町にある博士蔵ですが、この嘉永蔵でも特約店向け限定酒など一部の高級酒を醸造していて、この蔵の店頭でも試飲・販売されています。嘉永蔵は平成30年(2018年)に国の登録有形文化財に登録されました。。
この蔵では、日本酒造りについての啓発と理解促進に注力されていて、毎日、希望者を招き入れてレクチャーと施設見学のプログラムを実施されています。わたしたちも今回は一般の人たちと一緒に参加させていただきました。圧巻は数え切れない量の酒瓶に眠る熟成酒のコレクションです。今回は説明を省かれていましたが、1時間で1,000円ずつ価値が増していくというお話しを以前はされていて、とんでもない貴重なものを見せていただいているのだと感慨も一入でした。
野口英世とも親戚関係にあるそうです。独身時代の一時期、彼は蔵のすぐ隣近所に住んでいて、勉学に打ち込む様子が屋敷の窓からうかがえた、という話も何年か前に訪ねた際にお聞きした記憶があります。
・鶴乃江酒造
創業寛政6年(1794年)。訪ねた三軒のうちで最も長い二百年以上の伝統を誇る老舗の酒蔵です。現社長の向井洋年さんは8代目で、約30年前より蔵に入られ令和3年(2021年)から蔵の経営を受け継がれているとのことです。
奥様の林ゆりさんも、社長と同じく東京農大のご出身で、女性杜氏としてお酒を造りたいという夢をかなえるため家業を継がれたそうです。ご自身の名前を冠した「ゆり」という銘柄のお酒が数十年来の根強い人気を誇っています。
年間生産高は約1,000石。多様な品種の酒米を使い分け醸されていて、同業の仲間を巻き込み地元の米作農家さんにまとまった量を作ってもらう契約栽培米を使われているとのことです。
強く印象に残ったのは、業界全体が半世紀近くにわたってダウントレンドなのに反して、30年間で生産高・出荷量を3倍近くまで増やすことができたとのことで、これはお見事というしかありません。熱い情熱と地道な努力のなせる業です。
これからも目を離せない蔵元さんです。
飲食店:
・もっきり(おでん)
会津の良酒を常時幅広く取り揃えている優良店で、呑兵衛にとっては正に桃源郷です。地元のお客さんからの支持が厚く、会津の蔵元さんたちも入れ代わり立ち代わり訪れるといいます。ちなみに、このお店にはお酒のリストがありません。というのも、お客さんが毎日たくさん飲んでいくので、ライン・アップが常に入れ替わるためだそうです。もちろん、おでんをはじめとしたあても最高でした!また、何よりも美人女将のサービスにも癒されます。ぜひまた訪ねたいお店です。
https://tabelog.com/fukushima/A0705/A070501/7007380/dtlrvwlst/B474777211/?lid=unpickup_review
・銀座九丁目(スタンドバー)
東京で小料理屋を経営していた女性が会津若松駅の近くで開いているお店。会津のお酒をたくさん置いています。カクテルグラスに並々と注いでくれて一杯350円からと、お酒のコスパは良いです。おつまみについては評価が分かれるかもしれません。
https://tabelog.com/fukushima/A0705/A070501/7011822/
・なかじま(元祖煮込みソースカツ丼)
一度食べると虜になってしまいそうな濃醇でいてまろやかな味わいのカツ丼を提供してくれます。絶品です!地元の人たちのランチの聖地みたいで、私たちが入店してから僅かの時間の間に満席になっていました。
http://www.nakanoshima-aizu.jp/nakajimahp/subt.html
・ゑびす亭(鳥料理 海鮮)
会津酒を飲みながら地元の食材を使ったおいしい料理や新鮮な魚介類を提供してくれるお店です。オーナーご夫婦とそのお子さん、アルバイトさんの少数精鋭の連携で、心地よいペースでサービスしてくれます。酒器にもこだわりを感じる、とても粋なお店です。
https://tabelog.com/fukushima/A0705/A070501/7002556/
・コーヒー館 蔵
明治期の会津の古い蔵を改装したレトロ感あふれる静かな喫茶店です。散策途中の休憩に最適です。谷内六郎さんのほのぼのとした絵がさりげなく掛けられていたのが印象的でした。
https://www.aizukanko.com/gourmet/260
・さくら(そば)
会津の旅を締めくくりとして、天ぷらそばと「白虎飯」をあてに、今回訪ねた御蔵さんのお酒を飲みながら、「反省会」をいたしました。
https://tabelog.com/fukushima/A0705/A070501/7010999/
その他、訪ねた観光スポット等:
・会津塗 福西惣兵衛商店
会津名産の漆器のギャラリー、小売り店
・昭和懐かし館
昭和30年代の会津の街角と家庭を再現した空間
・鶴ヶ城(会津若松城)
会津の歴史と幕末の悲劇に関する充実した資料の展示は必見
・飯盛山(白虎隊廟所)
会津藩の少年部隊「白虎隊」の若者たちの終焉の地。彼らは炎上する鶴ヶ城を見て落城したものと早計し自刃した。
・さざえ堂
正式名称は「円通三匝堂」、寛政8年(1796)建立。2重螺旋のスロープでできた内部構造は世界的にも珍しい建造物であるとのこと。
かつて西国三十三観音像が安置され、参拝者はこのお堂をお参りすることで三十三観音参りができるとされていた。
・七日町駅
JR東日本只見線の駅。洋館風のレトロな駅舎。七日町駅カフェ、あいづふるさとアンテナショップが併設。
会津若松市は、会津地方の中核としては人口10万人と意外に小さな街ですが、規模の割には活気を感じます。
酒造りのほか、会津塗り(漆器)や陶器、絵蝋燭、会津木綿なと、いまでも昔ながらの伝統工芸品が受け継がれ、その魅力が外から観光客を呼んでいることもあるのでしょうが、何よりも地元の人たちが自分たちの街を愛し、経済を回しているのではないかと思いました。
そういえば、コンビニの数が圧倒的に少なく、全国ブランドの小売りチェーンも目立ちません。
今回お会いしたある蔵元さんによると、30年前は中心街の目抜き通りも寂れていて、街を再生させるために力を合わせ、徐々に街並みを取り戻してこられたとのことでした。
以上、ご報告と感想でした。
文責 団長(理事長) 桐村康司








































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